空き家を相続したらどうする?放置リスクと3つの活用法

親が住んでいた実家を相続したけれど、自分はすでに別の場所に住んでいる――。こうしたケースで問題になるのが「相続空き家」です。総務省の調査によると全国の空き家は約900万戸。「いずれ何とかしよう」と先送りにすると、思わぬリスクやコストが発生します。今回は、空き家を相続した場合のリスクと、具体的な活用法について解説します。

目次

空き家を放置する4つのリスク

① 固定資産税が最大6倍に

住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が最大1/6に軽減されています。しかし、適切な管理がされず「特定空き家」に指定されると、この特例が外れ、固定資産税が最大で6倍に跳ね上がります。2023年の法改正により「管理不全空き家」というカテゴリも新設され、特定空き家に至る前の段階でも特例が解除される可能性があります。

② 建物の老朽化と近隣トラブル

人が住まなくなった建物は、換気や水回りの使用がなくなることで急速に劣化が進みます。屋根や外壁の破損、雑草の繁茂、害虫の発生などは近隣からの苦情の原因となり、最悪の場合、倒壊による損害賠償責任を問われる可能性もあります。

③ 不法侵入・犯罪リスク

管理されていない空き家は、不法投棄や不法侵入のターゲットになりやすいことが知られています。放火のリスクも高まり、万が一近隣に延焼した場合の責任問題は深刻です。

④ 資産価値の低下

建物は放置すればするほど価値が下がります。また、税制上の特例には期限があるものが多く、タイミングを逃すと数百万円単位で損をすることもあります。「いつかやろう」ではなく、「今どうするか」を考えることが大切です。

空き家の3つの活用法

【活用法1】売却する

最もシンプルで確実な選択肢です。相続した空き家を売却する場合、一定の要件を満たせば「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の3,000万円特別控除」を利用できます。この特例を使えば、売却益のうち3,000万円まで所得税・住民税がかかりません。

ただし、この特例には主に次のような条件があります。

  • 被相続人が一人暮らしだったこと
  • 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された建物であること
  • 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
  • 売却代金が1億円以下であること
  • 耐震リフォームをするか、更地にして売却すること

特に「3年以内」の期限は重要です。相続が発生したら早めに売却の可否を検討しましょう。

【活用法2】賃貸に出す

立地条件が良い物件であれば、リフォームして賃貸物件として活用する方法があります。安定した家賃収入を得られるだけでなく、相続税の観点からもメリットがあります。賃貸中の建物は「借家権割合(通常30%)」を差し引いて評価されるため、将来の二次相続に備えた評価額引き下げ効果が期待できます。

一方で、リフォーム費用、空室リスク、入居者対応などの管理の手間がかかる点は考慮が必要です。自主管理が難しい場合は、管理会社への委託も選択肢に入れるとよいでしょう。

【活用法3】解体して土地活用する

建物の老朽化がひどく、リフォームのコストが見合わない場合は、解体して更地にしたうえで土地を活用するという選択肢もあります。駐車場経営、新たな賃貸住宅の建築、太陽光発電設備の設置などが考えられます。

ただし、更地にすると「住宅用地の特例」が外れ、固定資産税が上がるため、解体後すぐに新たな活用を始められるよう、事前に計画を立てておくことが重要です。

3つの選択肢の比較

売却 賃貸 解体+土地活用
初期費用 仲介手数料等 リフォーム費用 解体費用+建築費等
収入 売却代金(一括) 家賃収入(継続) 事業収入(継続)
管理負担 なし(売却後) あり(管理が必要) あり(事業運営)
税制メリット 3,000万円特別控除 借家権割合で評価減 事業形態により各種特例

まとめ|早めの判断が大きな差を生む

空き家を相続した場合、「とりあえず放置」が最もコストのかかる選択肢です。固定資産税の負担増、建物の劣化、税制特例の期限切れなど、時間が経つほどデメリットは大きくなります。

売却・賃貸・土地活用のいずれが最適かは、物件の状態、立地、ご家族の将来計画によって異なります。まずは現状を整理し、選択肢を比較検討するところから始めてみてはいかがでしょうか。


本コラムは一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務相談ではございません。実際の申告・対策にあたっては、個別の事情を踏まえた専門家への相談が必要です。

空き家の相続・活用に関するご相談は、南山税理士事務所までお気軽にお問い合わせください。

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