【質問】
今後、子供のために相続対策を実行していきたいのですが、何から始めてよいのかわかりません。
相続対策の進め方について教えてください。
【回答】
相続対策は、相続発生「前」の対策と相続発生「後」の対策に大別されます。
今回は相続発生「前」の対策について解説いたします。
当事務所では、以下の4点から相続発生「前」の対策を検討いたします。
① 「争族」の防止
② 財産の組換
③ 財産の早期移転
④ 納税資金の確保
【解説】前回の続きです
③財産の早期移転
財産額を「1単位当たりの財産評価額」と「数量」に分けた場合の「数量」を少なくする対策についてです。主に生前贈与を活用します。
相続対策としての財産の渡し方には、相続、贈与の2つがあります。相続で渡すと相続税、贈与で渡すと贈与税がかかります。税率は、相続財産の評価額、贈与財産の評価額により、どちらが有利か変わりますが、相続と贈与の両方を活用し、相続税と贈与税の合計額が最小になるように贈与計画を立てて、生前贈与を実行することをおすすめします。
長くなるため、具体的な事例紹介は割愛しますが、極論、毎年の贈与税の非課税枠である110万円で全財産を渡しきれるならば、贈与のみで解決すればよいです。しかし、それは現実的ではないため(毎年110万円で総額1億円を渡そうとすると91年かかります・・・)、実際は毎年1,000万円等とし(これなら10年で1億円渡せますね)、贈与税を支払ってでも財産額を積極的に減らしていくお客様が多いです。当然ですが、対策期間を長く取る方が毎年の贈与額を減らすことができ、無理なく対策を実行できます。
④納税資金の確保
相続税の納付期限は相続発生日から10か月以内です。納付方法は、原則、現金なので、それまでに現金を用意しておく必要があります。キャッシュリッチな方であれば問題ありませんが、地主のように、財産の大半が不動産であったりすると、現金を用意するのは大変です。相続の話と並行して、不動産の処分を進めないといけないですからね。また、不動産をすぐに売ろうとして足元を見られる場合があります。そのため、どの不動産を処分するのか(あるいは処分しておくのか)、早めに検討しておきたいところです。
いかがでしたでしょうか。生前の相続対策だけでも、検討事項が多いことがお分かりいただけたのではないでしょうか。また、対策というのは、現状とありたい姿の差分である課題に対して実行されるものですよね。ということは、現状分析がものすごく重要になります。キャッシュリッチの方と地主の方では課題が全然違いますからね。ということですので、まずは、ご自身の財産内容、評価額、相続税額、納税資金は早めに確認しましょう。遺言ができていれば完璧ですね。
※本記事は基本的な税務の取り扱いを解説しております。例外もございますので、ご容赦ください。