【質問】
今後、子供のために相続対策を実行していきたいのですが、何から始めてよいのかわかりません。
相続対策の進め方について教えてください。
【回答】
相続対策は、相続発生「前」の対策と相続発生「後」の対策に大別されます。
今回は相続発生「前」の対策について解説いたします。
当事務所では、以下の4点から相続発生「前」の対策を検討いたします。
① 「争族」の防止
② 財産の組換
③ 財産の早期移転
④ 納税資金の確保
【解説】
①「争族」の防止
相続によって多額の財産が降ってくると、普段仲が良い家族であっても揉めてしまうことがあります。俗に言う「争族」です。税金うんぬんの前に、お金で家族が揉めてしまうことは、最も避けるべきことですね。
では、相続で揉める原因は何でしょうか。それは、「急に」財産が降ってくるからだと思います。
急に財産が目の前に降ってくると、誰でも、どうしたらいいのか悩みますよね。
相続人間で平等に分けると言っても、何をもって「平等」とするかは、人それぞれです。
実は相続人の誰かが、昔から不満を抱えていたりすると、遺産分割協議でその不満が爆発するかもしれません。
これを防ぐには、被相続人となる方が、相続人に対し、生前から自分の財産の分け方を話しておくことが重要です。
普段のコミュニケーションに加え、遺言を残しておくと確実でしょう。
②財産内容の組換
相続税の計算は簡単に表すと、「財産額×税率」です。
税率は変えられませんので、相続対策では財産額をいかに減らすかという話になります。
財産額を分解すると、「1単位当たりの財産評価額×数量」となります。
例えば株式の評価額であれば、「1株当たりの評価額×保有株式数」です。
よって、財産額を減らすには、「保有する財産の評価額を下げる」か、「保有する財産の数量を減らす」の2つになります。②財産内容の組換は、前者の「保有する財産の評価額を下げる」対策になります。
では、「財産の評価額を下げる」とはどういことでしょうか。
相続税の計算上、各種財産の評価方法は次の通りです。
・現預金 = 時価(口座残高)
・土地 = 路線価評価
・建物 = 固定資産税評価
・株式 = 時価
・投資信託 = 時価
・生命保険 = 保険金額 ― 非課税額
※一般の方に伝わるように、イメージとして記載しております。税法上の正確な表現ではありません。
預金1億円の評価額は当然に1億円です。しかし、その1億円を土地に替えると評価方法が変わるため、評価額も変わります。
土地は路線価で評価されます。この路線価ですが、国税庁から毎年発表されており、一般的に時価の8割相当になるように設定されると言われております。そのため、1億円の土地はおおよそ8千万円で評価されます。1億円が8千万円になるので、2千万円の評価引き下げになります。
同じようなことで、保険の活用も有効です。保険は非課税枠がありますので、非課税枠がそのまま評価引き下げになります。
評価引き下げに走りすぎて預金残高が減り、納税資金が足りなくなってはいけませんが、うまく活用したい対策法です。
長くなってきましたので、今回はここまでです。③財産の早期移転以降は次回に続きます。
※本記事は基本的な税務の取り扱いを解説しております。例外もございますので、ご容赦ください。