遺言書の種類と書き方|確実に残すなら公正証書遺言をおすすめします

遺言書の種類と書き方|公正証書遺言のおすすめ

「うちは家族仲が良いから遺言書なんて要らない」――ご相談の現場では、よく耳にする言葉です。ところが実際には、遺産分割でこじれてしまうご家族の多くが、生前は仲が良かったご家族です。

遺言書は、相続争いを防ぐためだけの書類ではありません。残されたご家族が、迷わず・揉めずに・スムーズに手続きを進められる「道しるべ」です。

結論からお伝えすると、当事務所では遺言書を確実に残したい方には「公正証書遺言」をおすすめしています。理由は本文の中で順を追って解説します。今回は、代表的な2つの方式――自筆証書遺言と公正証書遺言――の違いを整理しながら、「なぜ公正証書なのか」をご説明します。

目次

遺言書には3つの種類があります

民法では、遺言書として次の3つの方式が認められています。

種類 作成方法 主な利用シーン
自筆証書遺言 ご本人が全文を手書き 手軽に作りたい方
公正証書遺言 公証人が作成・公証役場で保管 確実に残したい方(推奨)
秘密証書遺言 内容を秘密にして公証役場で存在のみ証明 実務ではほぼ使われない

実際にご利用が多いのは自筆証書遺言公正証書遺言の2つです。秘密証書遺言は、書き方の不備で無効になりやすいうえ、保管の確実性も中途半端なため、現在ではほとんど使われていません。

自筆証書遺言とは(民法968条)

ご本人が全文・日付・氏名を自書し、押印することで成立する遺言書です。紙とペン、印鑑があればすぐに作れる、もっとも手軽な方式といえます。

書き方のポイント

  • 全文を自書する:パソコンや代筆は不可です。
  • 日付を必ず入れる:「令和8年5月吉日」のような曖昧な書き方は無効になります。「令和8年5月18日」のように特定できる日付を書きましょう。
  • 氏名と押印:実印が望ましいですが、認印でも有効です。
  • 加除訂正の方式:書き直す場合は決まった方法(訂正箇所を示し、署名と訂正印)に従う必要があります。簡単な訂正でも形式を誤ると無効になるため、間違えたら新しい紙に書き直すのが安全です。

なお、2019年の民法改正により、遺言書に添付する財産目録だけはパソコンで作成・通帳のコピー添付などが認められるようになりました。ただし、目録の各ページに署名と押印が必要です。

自筆証書遺言の弱点

手軽さと費用ゼロが最大のメリットですが、実務では次のような弱点が問題になります。

  • 方式の不備で無効になりやすい:日付・自書・押印・訂正方法のいずれかを誤ると、遺言全体が無効になることがあります。
  • 紛失・破棄・改ざんのリスク:金庫やタンスに保管していて、相続人が見つけられないケースが少なくありません。
  • 検認手続きが必要:開封前に家庭裁判所での検認が必要で、相続人全員に通知が行きます。手続きに1〜2か月かかることも珍しくありません(後述の保管制度を使えば不要)。

公正証書遺言とは(民法969条)

公証人が遺言者の口述をもとに作成する遺言書です。原本は公証役場で長期保管され、紛失や改ざんの心配がありません。

作成の流れ

  1. 公証人と打ち合わせ(必要な戸籍・財産資料を揃える)
  2. 証人2名の立会いのもと、公証役場で読み聞かせ・署名・押印
  3. 原本は公証役場で保管、正本・謄本は遺言者が受領

公正証書遺言のメリット

  • 方式不備で無効になる心配がほぼない:法律の専門家である公証人が形式面をチェックします。
  • 検認手続きが不要:相続発生後、すぐに不動産の名義変更や預金の解約に進めます。
  • 紛失・改ざんの心配がない:原本は公証役場で半永久的に保管され、全国どこの公証役場からでも検索・取り寄せが可能です。
  • 体が不自由でも作成可能:入院中・自宅療養中の場合は、公証人に出張してもらうこともできます。手書きが難しくなった方でも、口頭で意思表示できれば作成可能です。

デメリットは「手間」と「費用」

  • 手数料がかかる:財産額によって変動し、目安として遺産1億円程度で5〜10万円程度です。
  • 証人2名が必要:推定相続人など利害関係者は不可ですが、公証役場で紹介を受けることもできます。

ご家族が将来スムーズに手続きできることを考えると、この程度の手間と費用を払う価値は十分にある、というのが実務での感覚です。

自筆証書遺言書保管制度(法務局保管)について

「自分で書きたいけれど、紛失や改ざんが心配」という方のために、2020年7月から始まった制度です。法務局が自筆証書遺言の原本を預かってくれる仕組みで、保管手数料は1件3,900円。

この制度を使えば、自筆証書遺言の弱点のうち「紛失・改ざんリスク」と「検認手続き」は解消できます。ただし、法務局では内容の有効性まではチェックされません。文面の解釈に争いが起きたり、遺留分への配慮が足りなかったりといった「中身の問題」は残ります。

「どうしても自筆で書きたい」という方には選択肢になりますが、当事務所としては、後述の理由からやはり公正証書遺言をおすすめしています

当事務所が公正証書遺言をおすすめする理由

ご相談を伺ってきた経験から、私たちが公正証書遺言を推す理由は次の3点に尽きます。

1. 「無効になるかも」という不安をなくせる

自筆証書遺言は、書いた本人が亡くなった後にしか有効性が問われません。ご家族が「この遺言は無効では?」と争うことになれば、遺言書を書いた意味そのものが失われてしまいます。公正証書なら、その入口の不安をなくせます。

2. 相続発生後の手続きがすぐに進む

検認手続きには1〜2か月かかります。その間、不動産の名義変更や預金の解約は止まったままです。公正証書遺言なら検認不要なので、ご家族は四十九日を済ませた頃から、速やかに次のステップに進めます。

3. 認知症リスクへの備えになる

遺言書は、書いたときに判断能力(遺言能力)があったかが後で問題になることがあります。公正証書では、公証人が遺言者の意思確認を行ったうえで作成するため、「能力がなかった」と争われにくいという大きな利点があります。ご高齢になればなるほど、この差は重要になります。

遺言書を作るときに気をつけたいこと

最後に、方式選びとは別に、内容面で見落としがちなポイントをご紹介します。

  • 遺留分への配慮:配偶者・子・直系尊属には、最低限の取り分(遺留分)が法律で保障されています。極端に偏った遺言は、後にトラブルのもとになります。
  • 付言事項を書く:法的効力はありませんが、「なぜこのように分けたのか」「家族へのメッセージ」を添えると、残されたご家族の心情面のしこりを和らげる効果があります。
  • 遺言執行者を指定する:相続発生後の手続きを担当する方を決めておくと、ご家族の負担が大きく軽減されます。
  • 定期的な見直し:家族構成や財産が変わったら、遺言書も見直しましょう。公正証書は何度でも作り直せます。

まとめ

遺言書は、ご家族へ残せる最後のお手紙でもあります。せっかく書いても、形式不備で無効になったり、見つけてもらえなかったり、検認で時間を取られたりしては、ご家族の負担はかえって増えてしまいます。

確実に意思を残し、ご家族の手続きをスムーズにしたいなら、公正証書遺言が最適です。当事務所では、公証人との打ち合わせや必要書類の準備、税務面の確認まで、相続専門の税理士が一貫してサポートいたします。

「自分の場合はどう書けばいいか」「内容をどうすれば家族が納得しやすいか」――迷われたときは、お一人で悩まず、お気軽にご相談ください。初回面談は無料、いりなか駅1番出口から徒歩1分です。


本コラムは一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務相談ではございません。実際の遺言書作成にあたっては、個別の事情を踏まえた専門家への相談が必要です。

公正証書遺言の作成サポート・相続対策のご相談は、南山税理士事務所までお気軽にお問い合わせください。昭和区・瑞穂区・天白区を中心に、地元密着型で丁寧にサポートいたします。

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