2026年7月1日、国税庁から令和8年分の路線価が公表されました。全国平均は前年比プラス2.9%と5年連続の上昇で、現在の算出方法となった2010年以降では最大の上昇率です。
路線価は、相続税や贈与税で土地を評価するときの基準となる価格です。つまり路線価が上がるということは、同じ土地でも相続税の計算上の評価額が上がるということ。「うちは関係ない」と思っていた方が、地価の上昇によって申告が必要になるケースも出てきています。
今回は速報として、令和8年分路線価の全国・名古屋の動向と、私たちの地元・昭和区周辺の注目ポイント、そして相続税への影響を整理してお伝えします。
そもそも路線価とは?
路線価とは、道路(路線)に面する標準的な宅地の1平方メートルあたりの価額で、相続税・贈与税の土地評価の基準となるものです。毎年1月1日を評価時点として、地価公示価格などをもとにした価格の80%程度を目安に定められ、その年の7月初旬に国税庁から公表されます。
ポイント
2026年1月1日から12月31日までの間に相続や贈与で土地を取得した場合、その土地は今回公表された令和8年分の路線価で評価します。
路線価の基本的な仕組みや調べ方は、路線価の基本を解説したコラムで詳しくご紹介しています。
全国の動向――5年連続の上昇、伸び幅は過去最大
令和8年分の路線価は、全国約31万地点の標準宅地の平均で前年比プラス2.9%。上昇は5年連続で、伸び幅は現行の算出方法となって以降で最大となりました。都道府県別では36都道府県で上昇し、横ばいが3県、下落は8県です。
全国で最も高かったのは、41年連続で東京・銀座の「鳩居堂」前。1平方メートルあたり5,336万円(前年比プラス11.0%)でした。東京都の平均上昇率は9.4%と全国平均の3倍を超えており、都市部への地価上昇の集中がいっそう鮮明になっています。
愛知県・名古屋の動向――平均プラス2.2%、5年連続上昇
愛知県内の路線価は平均で前年比プラス2.2%。上昇は5年連続ですが、伸び幅は前年の2.8%からやや縮小しました。建築費の高騰が再開発の勢いをやや鈍らせる一方、オフィス需要などが下支えしている状況です。
名古屋市内の主な地点の最高路線価は次のとおりです。
| 地点 | 令和8年分(1㎡あたり) | 対前年変動率 |
|---|---|---|
| 中村区名駅1丁目(名駅通り) | 1,304万円 | +1.2% |
| 中区栄3丁目(大津通り) | 931万円 | +3.4% |
| 千種区今池1丁目(広小路通り) | 120万円 | +7.1% |
| 昭和区阿由知通3丁目(山王通り) | 56万円 | +9.8% |
※名古屋国税局公表「令和8年分 名古屋国税局各税務署管内の最高路線価」より。各税務署管内で最も高い路線価の地点です。
注目は昭和区――上昇率9.8%は名古屋市内でもトップクラス
今回の公表で私たちが注目したのは、地元・昭和区の動きです。昭和税務署管内の最高路線価である阿由知通3丁目(山王通り)は前年比プラス9.8%。前年の6.3%から伸び幅が拡大し、名駅(プラス1.2%)や栄(プラス3.4%)といった都心部を大きく上回る、名古屋市内でもトップクラスの上昇率となりました。
これは商業地の最高路線価の話であり、住宅地の路線価がそのまま同じ率で上がるわけではありません。ただ、都心部の地価上昇が一巡し、上昇の波が昭和区・瑞穂区・天白区のような生活圏へ広がってきている傾向は読み取れます。八事・いりなか周辺のように地価水準がもともと高い住宅地では、路線価の上昇が相続税評価額に与える影響も小さくありません。
路線価の上昇は相続税にどう影響するのか
相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除があり、遺産の評価額合計がこれを超えると申告が必要になります。土地の評価額は路線価をもとに計算されるため、路線価が上がるほど基礎控除を超えやすくなるのです。
たとえば法定相続人が2人なら基礎控除は4,200万円。名古屋市内で戸建てと預貯金をお持ちの場合、土地の評価額の上昇によって「数年前に試算したときは控除内だったのに、今計算し直すと超えていた」ということが起こり得ます。
一方で、土地の評価には負担を軽減する制度もあります。ご自宅の土地は要件を満たせば小規模宅地等の特例で最大80%評価減となるほか、賃貸アパートの敷地(貸家建付地)はこの地域で一般的な借地権割合50%の場合、15%の評価減となります。詳しくは小規模宅地等の特例のコラムをご覧ください。
実践のポイント――今できること
- ご自宅の路線価を確認してみる:国税庁の「財産評価基準書」サイト(路線価図)で、住所から誰でも無料で調べられます。前面道路に書かれた数字(千円単位)×土地面積が評価額のおおまかな目安です。
- 財産全体で基礎控除と比べてみる:土地の概算評価額に預貯金や有価証券などを加え、基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)と比較してみましょう。境目に近い方ほど、路線価の上昇の影響を受けやすくなります。
- 数年前の試算は「今の路線価」で見直す:5年連続の上昇で、以前の試算とは前提が変わっています。特に土地の比重が大きいご家庭は、最新の路線価での再確認をおすすめします。
まとめ
令和8年分の路線価は、全国平均プラス2.9%と5年連続の上昇。愛知県も平均プラス2.2%と上昇が続き、なかでも昭和区の上昇率9.8%は名古屋市内でもトップクラスでした。
路線価の上昇は、土地をお持ちの方にとって相続税評価額の上昇を意味します。「うちはぎりぎり基礎控除内のはず」という方こそ、最新の路線価での確認が大切です。評価額を正しく把握することが、小規模宅地等の特例の活用や生前対策など、次の一手を考える出発点になります。
私たちは昭和区・瑞穂区・天白区の土地事情に日々接している地元の税理士として、最新の路線価にもとづく評価と相続対策のお手伝いをしています。「自宅の評価額がどれくらいか知りたい」「路線価が上がって申告が必要になるか不安」――そんな疑問をお持ちの方は、お早めにご確認ください。
路線価や土地の評価に関するご相談は、お気軽に南山税理士事務所までお問い合わせください。初回面談は無料です。南山税理士事務所は、鶴舞線いりなか駅1番出口から徒歩1分。昭和区・瑞穂区・天白区を中心に、地元密着で相続をサポートしています。
本コラムは、国税庁・名古屋国税局が公表した令和8年分路線価(2026年7月1日公表)等にもとづく一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務相談ではございません。実際の土地の評価額は、土地の形状や利用状況などにより異なります。具体的な申告・対策にあたっては、専門家への相談をおすすめします。
路線価・土地評価をふまえた相続のご相談は、南山税理士事務所までお気軽にお問い合わせください。地元密着型で、評価から申告・生前対策まで丁寧にサポートいたします。

