もうすぐお盆。ご実家に帰省して、ご家族が顔を合わせる方も多い時期です。じつはこのお盆、「親の相続」について話し合える、年に数回しかない貴重な機会でもあります。
「縁起でもない」と思われがちですが、当事務所にご相談にいらっしゃる方から多く聞くのは、「元気なうちに聞いておけばよかった」という言葉です。今回は、お盆の帰省で話しておきたいことを5つのチェックリストにまとめ、切り出し方のコツとあわせてご紹介します。
なぜ「元気なうち」の話し合いが大切なのか
理由は大きく3つあります。
- 認知症になると、選択肢が一気に狭まる:遺言書の作成、生前贈与、不動産の売却といった相続対策は、ご本人の判断能力があることが前提です。体は元気でも判断能力が低下すると、できることが大きく限られてしまいます。
- 相続税の申告期限は10か月しかない:相続が発生してから「どこにどんな財産があるのか」を探し始めると、葬儀や役所の手続きと並行しての作業になり、時間はあっという間に過ぎていきます。
- 話し合い不足が、もめる一番の原因になる:特にご実家などの不動産は現金のように分けられないため、「誰が住むのか」「売るのか」をめぐって意見が分かれやすい財産です。ご本人の意向を全員で聞いておくだけでも、後々のトラブルはぐっと減ります。
ポイント
相続税がかからないご家庭でも、遺産分割や相続登記(2024年から義務化)は避けて通れません。「うちは財産が少ないから関係ない」とは言い切れないのが相続です。
お盆に話しておきたい「親の相続」チェックリスト
① 財産のありか――「どこに・何があるか」だけでいい
預金口座・証券会社・保険・不動産など、「どこに何があるか」を把握できているでしょうか。金額まで聞き出す必要はありません。取引のある金融機関の名前が分かるだけでも、いざというときの調査がまったく違います。エンディングノートや財産目録を親御様に書いてもらうのも一つの方法です。
② 実家をどうするか――方向性だけでも
将来、ご実家に誰かが住むのか、空き家になるのか。相続税の計算では、自宅の土地の評価を最大80%減額できる小規模宅地等の特例がありますが、この特例は「誰がその家を取得し、どう使うか」で適用できるかどうかが変わります。今すぐ結論を出す必要はありませんが、方向性を話しておくだけで、取れる選択肢が変わってきます。
③ 遺言書の有無と保管場所
遺言書を書いているのか、書いているならどこに保管しているのか。自筆の遺言書は、法務局で保管してもらえる制度(自筆証書遺言書保管制度)もあります。「ある」ことを家族が知らなければ、せっかくの遺言書も活きません。
④ 生命保険の契約内容と受取人
保険証券の保管場所と、受取人が今の家族関係に合っているかを確認しましょう。何十年も前の契約では、受取人がすでに亡くなった方のままになっているケースが実際にあります。生命保険は相続税の非課税枠(500万円×法定相続人の数)が使える大切な財産です。
⑤ 困ったときに相談する相手
かかりつけ医、取引のある金融機関の担当者、付き合いのある税理士や司法書士。親御様が「誰に何を任せているか」を家族が知っておくと、いざというときに最初の一歩が早くなります。
実践のポイント――相続の話の切り出し方
- 自分の話から入る:「最近、終活の記事を読んで自分でもエンディングノートを書いてみた」「友人が相続で苦労したらしい」など、まず自分やまわりの話として持ち出すと、親御様も構えずに聞けます。
- テレビやニュースをきっかけにする:相続や実家じまいの話題が出たタイミングは自然な入り口です。
- 一度に全部決めようとしない:5つ全部でなくて構いません。今年のお盆は「①財産のありか」だけでも聞ければ大きな前進です。
- できれば兄弟姉妹が揃う場で:一部の家族だけで話が進むと、「自分は聞いていない」という不満のもとになります。全員が揃うお盆だからこそ、同じ話を同じ場で聞いておく意味があります。
まとめ
お盆は、ご家族が自然に集まれる年に数回の機会です。「財産のありか」「実家のこと」「遺言書」「生命保険」「相談相手」――この5つを頭の片隅に置いて、話せるところから少しずつ始めてみてください。相続の準備は、早く始めるほど選択肢が多く残ります。生前贈与などの具体的な対策は、生前贈与のコラムもあわせてご覧ください。
当事務所では、生前の相続対策から相続発生後の申告まで、二次相続や納税資金まで見据えた全体最適のご提案を行っています。帰省で気になったこと――「実家の評価はいくらぐらいなのか」「うちは相続税がかかるのか」――など、お気軽にご相談ください。
なお、当事務所は2026年8月13日(木)から8月16日(日)まで夏季休業をいただきます。休業中もお問い合わせフォームは受け付けており、8月17日(月)以降に順次ご返信いたします。
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本コラムは2026年8月時点の法令等にもとづく一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務相談ではございません。小規模宅地等の特例や生命保険の非課税枠の適用可否は、財産の内容やご家族の状況により異なります。具体的な適用にあたっては、専門家への相談をおすすめします。
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